
無料一人用朗読台本
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最初の一歩はおんなじだったはずなのに。 どうしてキミはずっと先にいるの? どうして私は置いてけぼりなの? 降り注ぐ雨は酷く冷たいのに。 ぬかるんだ地面は歩き辛いのに。 まとわりつく腐臭は耐えきれないのに。 進んだ先に道があるかもわからないというのに。 どうしてキミはひたすらに進んでいくの? どうして私だけが取り残されているの? 遠い昔、 夢を語り合った思い出が今はおぞましいよ。 いつか叶ったらいいね、って笑い合ったのに。 一緒に叶えようね、って誓い合ったのに。 どうしてキミだけが夢を叶えているの? 沢山の人に囲まれて、煌びやかな世界で。 数え切れない愛に包まれて、華やかな生活を。 どうしてキミだけがそっちにいるの? どうして私だけがこっちにいるの? なのに。 どうして私に優しく話しかけてくれるの? キミと私は住む世界が違うのに。 光り輝く世界に進んだキミと、 闇の世界でうずくまっている私。 本当は触れ合っちゃいけないはずなのに。 どうしてキミは昔とおんなじ笑顔を向けてくれるの? 私なんか、さっさと切り捨てちゃえばいいのに。 私なんか、一緒にいたって特なんて何もないのに。 どうして私の涙を拭ってくれるの? どうして私の身の丈に合った話をしてくれるの? ねぇ。 私はどうすればいいの? 我武者羅にがんばったよ。 キミに届くくらいに手を伸ばしたよ。 でも。 それでも。 どうしようもないんだ。 なのに、そんな顔をしないで。 もう私に構わないで。 キミが優しくしてくれるたび、自分が惨めになるんだ。 キミの放つ光が眩しすぎて、 私の中の醜い闇が浮き彫りになってしまいそうで、 怖いんだ。 これ以上、キミを嫌いになりたくないんだ。 だから。 もう。 私の前から―――― 消えて。 ――――なんて、無理だよね。 キミはあまりにも大きな存在だから。 キミの存在が視界に映らなくなるなんて不可能だから。 私が目を閉じても、キミの光は網膜を焼き尽くす。 私が耳を塞いでも、キミの声は鼓膜に響き渡る。 どうしようもないね。 笑っちゃうくらいすごいんだもん。 じゃあさ。 私、 もう少しだけがんばってみるね。 キミにもう一度だけ手を伸ばしてみるね。 降り注ぐ雨に身を貫かれても。 ぬかるんだ地面に沈んだとしても。 まとわりつく腐臭に臓腑を壊されても。 進んだ先にキミがいるかどうかわからないけれど。 それでも。 もう少しだけがんばってみる。 だって、 これ以上、キミのことを嫌いになりたくないからさ。
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