
無料一人用朗読台本
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鋭い針に刺されるような寒風の中。 わたしは一人、 がらんどうの商店街を闊歩する。 閑古鳥が鳴く、というのはまさにこのことだろう。 なんてシニカルな笑みをマスクで隠しながら。 シャッターに貼られたポスターに視線を映した。 色褪せた平成の空気、 幼い頃に好きだった記憶が薄らぼんやりとあるキャラクター。 二度と戻ってはこないノスタルジーの風。 でもインターネットを漁れば無限に写真や記憶は掘り起こされる。 そのたびにわたしは思い出す。 あの頃のぬくもり。 あの頃のやさしさ。 あの頃の狭い世界。 まだ、自分が全能だと思っていた幼心。 ちっぽけな体に無軌道の思想を走らせて、 何の根拠もない衝動に駆られて突き進んでいた。 懐かしい。 そんな穏やかな感情と共に気恥ずかしい微熱がほとばしる。 若気の至りと言えば美しく、 童心の思い出と言えば微笑ましく、 二度とは手に入らない幸せと思えば無性に苦しくて。 かつては極彩色だった世界。 無限に続くと思っていた未来。 活気に溢れていた商店街。 今は昔。 吹き荒ぶ風が身も心も凍てつかす。 わたしは一人、 がらんどうの今を闊歩する。 きっと明日も。 きっと来年も。 わたしは一人、 がらんどうのままで生きていく。
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